インタビュー(ノンタン / キヨノサチコさん)

2018年5月31日(転記)旧BOOKSERVICE

● インタビュー ● 「ノンタン でかでか ありがとう」  キヨノサチコさん
2006年
20160927close/BOOKSERVISEサイト転記(テキストのみ)

キヨノサチコさん
プロフィール
1947年東京生まれ。
少女雑誌にギャグ漫画を描いたり、幼児雑誌でのカットや付録の仕事、商品デザインなどに携わる。1976年『ノンタンぶらんこのせて』『ノンタンおやすみなさい』でデビュー。以後、子どもたちに大人気のノンタンの絵本をつぎつぎ生み出す。
<ノンタンあそぼうよ>シリーズ全19巻
<ノンタンボードブック>シリーズ全3巻
<赤ちゃん版ノンタン>シリーズ全9巻
<トムトム・ブー>シリーズ
幼年童話<いたいのかいじゅう>シリーズ
ノンタンは、3Dのアニメーションにもなっている。

キヨノサチコさん、ノンタン。

ノンタンが初めてみんなの前に現れたのは、1976年。
以来30年間、ノンタンはずっと人気者です。パパもママも、子どもの頃に読んだノンタンの絵本。では、ノンタンのママ(作者)は、どんな人なんでしょう。

30年前、ノンタンの本はどのようにして生まれたのですか――
きっかけは岩崎ちひろさんの人魚姫を読んだこと。それまで私は少女雑誌でギャグ漫画を描いたり、幼児雑誌のカット絵や商品デザインの仕事をしていたのですが、私も絵本を描きたいと、無我夢中で描いた最初の絵本が、ノンタンでした。無理して作り出したのではなく、元気いっぱいの笑顔でポーンと跳び出てきたものを一気に描き上げました。ノンタンのあの性格も、ノンタンが、たったか、たった動き回っているうちに、自然にできた感じです。
ストーリーは毎回、自分が子どものときに楽しかったこと、嬉しかったことを思い出して作り上げます。また、『がんばるもん』のように、小児病棟で、ボランティアで働いている方から「子どもたちが、元気に頑張って治療を受ける勇気の出る絵本を描いてください」と言われて描いたものもあります。

楽しい文章と、ノンタンの豊かな表情。「読み聞かせ」をしている親子の様子が目に浮かびます――
文章は、削って、削って、短くしたあと、リズミカルに何度も声を出し読み返して、修正を重ねて完成させます。
面白いんですよ。出版社の担当者の方と最後の打ち合わせ点検をするときには、気が付いたら二人とも大きな声を出して、ノンタンたちになりきって読んでいました。声を出して文を読みながら作るということが大事なんですね。
絵を描いていて楽しいのは、色を塗り終えて、最後の仕上げの墨線を筆で入れるとき。仕上がってくるとともに、ノンタンたちが元気に生き生きとしてくるのです。苦心するのは、きらきらと明るい表情に描き上げること。まず自分自身をそのテンションまで引き上げなければなりませんからね。

キヨノさんご自身は、子どもの頃どんな絵本が好きだったのでしょう――
講談社の絵本シリーズです。そのシリーズで育ちました。中でも印象に残っているのは、幼稚園のときにサンタさんにもらった「俵藤太」の絵本。女の子の私に、お姫様ものではなく、武者ものです。おてんばだったからかな。でも、その武者絵の着物のひだが、なぜかとても気に入り、模写していました。

いつもどんなところで描いているのですか――
いまカリフォルニア在住です。結婚して、アメリカに住むことになりました。部屋の窓から見えるのは、空と海。いつも、そのときの自分の気持ちに一番合った音楽を聴きながら描きます。オールディーズ、クラシック、美空ひばりさん、ヨーヨー・マのチェロ、フジ子(ヘミング)さんのピアノ、津軽三味線、ジャズ・・・。『でかでか ありがとう』のときは、大江光さんのCDをよく聴きました。
新しい作品に取り掛かるときは、必ず机の上を掃除します。拭き清めて心新たにして描き始めます。机は散らかってきますが、定期的に片付けて、描くのに不必要なものは、一切置きません。日本茶が大好きなので、飛び切りおいしい日本茶の入った湯のみが、必ず机の上にあります。この日本茶はノンタンを描くエネルギーになる大事なアイテムです。

ご趣味はプロペラ機の操縦だとか――
45歳から訓練を始めて、47歳でパイロットの免許を取得しました。一人でアメリカの砂漠を飛んでいると、大気と一体になった自分を感じます。そのカラリとした空っぽの無限大の広がりの中で、のびのびとした自由を感じるときが、たまらなく好きです。

この30年で変わったこと、これからも変わらないことは何ですか――
読者から「子どものときに読んでいました。いま自分の子どもにも読んでいます」とか「子どもに読んでいたのを、いまは孫に読み聞かせをしています」というお手紙をいただくと、時の流れを感じます。
私は、最初にノンタンを描くときに、親子代々読み継がれるような息長く愛される絵本を描き続けたいと願っていました。30周年記念の新作ノンタン『でかでか ありがとう』は、心からの愛と感謝を込めた「ありがとう~☆」です。これからも、ノンタンの世界の広がりの中で、きらきらの笑顔で、のびのびと遊んでいる子どもたちと一緒に、描き続けていきたいと思っています。

※このインタビューは、アメリカ在住のキヨノサチコさんにメールで質問にお答えいただいたものをまとめました。