ナフサ由縁 街の板金屋が「シンナー・塗料不足」で廃業
ナフサは無いのか?止められてるのか?
先日、いつもの行きつけの自動車整備屋さんに顔を出した際、非常にショックな、そして他人事とは思えない切実な話を聞きました。
仕事仲間の板金屋が、「シンナーと塗料が入ってこない」という理由で、なんと廃業してしまったというのです。
材料が途絶えてすでに3ヶ月。いつ流通が戻るかも分からず、先行きが見えないため銀行も融資をしてくれない。社長は苦渋の決断として、会社を泥沼に引きずり込む前に社員を解雇し、失業手当をもらって次の道を探してもらう選択をしたそうです。
車好き、DIY好きの私としても、現場の確かな技術を持った職人さんの場所がこんな形で奪われていくのは、本当に言葉になりません。
ちなみに、自動車整備屋さんも、オイルの種類によっては三か月止まったままで、ストックもあと数か月とのことです。
でも、なぜ今、これほどまでに「シンナーや塗料」が手に入らないのでしょうか?
国は「石油の備蓄はある」と言っているのに、なぜ現場は干上がっているのか。その残酷な裏事情を調べてみました。
理由1:原油はあっても「ナフサ」が届かない
国や元売りの巨大タンクには、ガソリンや灯油などの「燃料用の原油」は十分に備蓄されています。
しかし、塗料やシンナー(有機溶剤)の主原料となる「ナフサ(粗製ガソリン)」は事情が違います。
日本はナフサの約7割を中東からの輸入に頼っていましたが、今年初頭からのホルムズ海峡の情勢緊迫化により、この輸入ルートが大打撃を受けました。燃料が優先される裏で、化学産業用のナフサの供給は一気にストップしてしまったのです。
理由2:サプライチェーンの末端で起きる「猛烈な目詰まり」
原材料が不足したことで、日本ペイントや関西ペイントなどの大手メーカーが相次いで出荷調整や受注制限をかけました。
流通量が圧倒的に少なくなると、何が起きるか?
大手による囲い込み・パニック買い
商社による厳しい販売制限(1人1缶まで、など)
資金力のある大手チェーンや大規模工場が必死に在庫を抑える一方で、地域の小さな町工場や個人経営の板金屋さんといった「サプライチェーンの末端」には、3ヶ月待っても1缶も回ってこないという深刻な事態がリアルに起きています。
理由3:価格の暴騰。「作れば作るほど赤字」の現実
仮に運よくシンナーが見つかったとしても、価格は従来の数倍(1缶4,000円程度だったものが1万5,000円以上など)に跳ね上がっています。
板金塗装は事前にお客さんに見積もりを出して預かる仕事です。これだけ材料費が暴騰すると、作業をすればするほど赤字になります。しかも、その高価な材料すら「次いつ手に入るか分からない」状態では、経営の計画など立てようがありません。
銀行が「いつ回復するか見通しが立たないリスク」に対して融資を断るのも、冷徹ですが今の経済の現実です。
職人の技術を守るために
現在、中東以外の代替ルートからの調達が進みつつあり、最悪期は脱しつつあるという見方もあります。しかし、一度干上がってしまった中小企業向けの流通網が元通りに流れるようになるには、まだ数ヶ月以上の時間がかかると言われています。
今回の板金屋さんの廃業は、決して経営の怠慢などではなく、突如襲ってきた「原材料不足」という抗えない波に呑まれてしまった結果です。泥沼になる前に身を引いた社長さんの決断は、経営者としての最後の責任感だったのかもしれません。
私たちの大切な愛車を支えてくれる、地域の整備屋さんや板金屋さん。
一刻も早くこの流通の目詰まりが解消し、現場に当たり前に材料が届く日々が戻ることを切に願います。
ナフサが積むのではなく、流通が積む。
お米の時も同じですが、流通を阻害する勢力があり、結局復活した時にお米余りのようなしっぺ返しが帰ってくるのではないでしょうか?
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