流行語大賞って、何のためにやってるの?選考に疑問。
2020年頃から特におかしくなってきた?
今年に限っては「日本人ファースト」が選考にも入っていない、、、過去には「NHKをぶっ壊す」などなぜ入っていないのか分からないものも。
ちなみに都民ファーストは選考に入ったこともある。
流行語大賞を続ける意味が分からない──制度疲労と世相との乖離
毎年12月に発表される「流行語大賞」は、1984年の創設以来、言葉を通じてその年の世相を映す文化的イベントとして位置づけられてきた。だが近年、その選出語と社会の実感との乖離が顕著になっている。SNS上では「聞いたこともない」「誰が使っていたのか分からない」といった声が相次ぎ、制度そのものへの疑問が高まっている。
選出語と使用実感の乖離
流行語大賞の本来の趣旨は、「その年の世相を象徴する言葉」を選び、記録することにある。しかし、近年のノミネート語には、特定の界隈でしか使われていない言葉や、企業広告・ドラマのプロモーションに近い語が含まれる傾向が強まっている。2025年の「ふてほど」や「ラブブ」などは、テレビドラマやSNSの一部で話題になったものの、全国的な使用実感を伴っていたとは言い難い。
一方で、「NHKをぶっ壊す」「日本人ファースト」「女性初総理」など、報道や政治討論で繰り返し使われた言葉はノミネートすらされていない。これらは社会的議論を喚起した言葉であり、世相を象徴するには十分なインパクトを持っていたにもかかわらず、選考から除外されている。
選考構造の限界
流行語大賞の選考は、主催者(自由国民社)と選考委員会によって行われる。選考委員は作家・評論家・ジャーナリストなどで構成され、オールドメディア寄りの視点が強い。加えて、2025年からはT&D保険グループがスポンサーとなり、企業イメージとの整合性も選考に影響を与える可能性がある。
この構造のもとでは、政治的対立を含む言葉や、差別的と受け取られる可能性のある言葉は敬遠されやすい。結果として、「流行したが選ばれない言葉」が年々増加し、選出語が「無難で選びやすい言葉」に偏る傾向が強まっている。
🏆歴代「年間大賞」一覧(1984〜2024)
| 年度 | 年間大賞(代表語) | 主な受賞者・背景 |
|---|---|---|
| 1984 | まるきん・まるび | 消費スタイルの象徴 |
| 1985 | イッキ!イッキ! | 飲み会文化 |
| 1986 | 新人類 | 若者世代の価値観 |
| 1987 | 懲りない○○ | 社会風刺 |
| 1988 | 今宵はここまでに | 時代劇の名台詞 |
| 1989 | オバタリアン | 中年女性像の風刺 |
| 1990 | ちびまる子ちゃん(現象) | 国民的アニメ |
| 1991 | …じゃあ〜りませんか | チャーリー浜のギャグ |
| 1992 | きんさん・ぎんさん | 長寿姉妹の人気 |
| 1993 | Jリーグ | サッカー元年 |
| 1994 | 同情するならカネをくれ | ドラマ『家なき子』 |
| 1995 | 無党派 | 政治不信の象徴 |
| 1996 | 自分で自分をほめたい | オリンピック選手の言葉 |
| 1997 | 失楽園(する) | 社会現象化した小説 |
| 1998 | だっちゅーの | お笑いコンビのギャグ |
| 1999 | 雑草魂 | 野球・松井稼頭央 |
| 2000 | おっはー | 香取慎吾の挨拶 |
| 2001 | 小泉語録 | 小泉純一郎首相の発言 |
| 2002 | タマちゃん | 多摩川のアザラシ |
| 2003 | なんでだろ〜 | テツandトモのネタ |
| 2004 | チョー気持ちいい | 北島康介の名言 |
| 2005 | 小泉劇場 | 政治演出の象徴 |
| 2006 | イナバウアー | 荻原舞の技名 |
| 2007 | どげんかせんといかん | 東国原英夫の政治語 |
| 2008 | グ〜! | エド・はるみのギャグ |
| 2009 | 政権交代 | 民主党政権誕生 |
| 2010 | ゲゲゲの | 水木しげる夫妻の物語 |
| 2011 | なでしこジャパン | 女子サッカーW杯優勝 |
| 2012 | ワイルドだろぉ | スギちゃんのギャグ |
| 2013 | 今でしょ!/倍返し/じぇじぇじぇ/お・も・て・な・し | 多数受賞(林修、半沢直樹、能年玲奈、滝川クリステル) |
| 2014 | ダメよ~ダメダメ | 日本エレキテル連合 |
| 2015 | 爆買い/トリプルスリー | 訪日観光/プロ野球 |
| 2016 | 神ってる | 広島カープの選手 |
| 2017 | インスタ映え/忖度 | SNS文化/政治語 |
| 2018 | そだねー | カーリング女子代表 |
| 2019 | ONE TEAM | ラグビー日本代表 |
| 2020 | 3密 | コロナ対策語(小池百合子) |
| 2021 | リアル二刀流/ショータイム | 大谷翔平 |
| 2022 | 村神様 | 村上宗隆 |
| 2023 | アレ(A.R.E.) | 阪神タイガース |
| 2024 | ふてほど | ドラマ『不適切にもほどがある!』 |
制度疲労と象徴性の喪失
流行語大賞は、かつては「まるきん・まるび」「新人類」「Jリーグ」「政権交代」など、社会の変化を言語化する役割を果たしていた。しかし現在では、選考委員の価値観やスポンサーの方針が強く反映されるイベントとなり、「世相の記録」よりも「炎上回避と企業イメージの維持」が優先されているように見える。
このような状況下で、流行語大賞を続ける意味はあるのか。制度疲労が進み、象徴性を失ったイベントが、果たして「文化的記録」としての役割を果たし得るのか。今こそ、制度の再設計か、あるいは終了を含めた抜本的な見直しが求められている。
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