沖縄県知事選を前に相次ぐ「玉城デニー氏」への選挙運動?――山添拓氏への懲戒請求と辺野古転覆事故を考える
2026年8月27日に告示、9月13日に投開票される沖縄県知事選を前に、現職・玉城デニー氏を支援する動きが活発になっています。(沖縄県公式サイト)
その中で気になるのが、日本共産党の山添拓参議院議員らによる街頭活動です。
一方で、山添氏に対しては「告示前の選挙運動ではないか」として弁護士としての懲戒請求が行われ、第二東京弁護士会が調査を開始したとの申立人側の発信も出ています。
さらに今年3月には、辺野古沖で平和学習中の高校生らが乗った船2隻が転覆し、高校生と船長の2人が亡くなる痛ましい事故も発生しました。
この事故では、船を運航していた「ヘリ基地反対協議会」の安全管理や事故後の対応について、重大な問題が指摘されています。
ここでは、確認できている事実と、まだ結論の出ていない事項を分けて整理します。
1.「確定していること」
沖縄県知事選の日程
沖縄県知事選は、
- 8月27日告示
- 9月13日投票
の日程で行われます。
現職の玉城デニー氏も3選を目指しています。(沖縄県公式サイト)
つまり、現在はまだ告示前です。
ここは今回の問題を考えるうえで非常に重要です。
2.山添拓氏は「玉城デニー知事でこそ!」と訴えている
8月9日、山添拓氏の事務所は、沖縄での街頭演説について、
「玉城デニー知事でこそ!」
と訴えたことを公表しています。
また、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」も、山添氏らが「玉城デニー知事の3選勝利」を訴えたと報じています。(note(ノート))
ここは確定事項です。
「玉城氏を応援している」というレベルではなく、少なくとも党の公式発信では「3選勝利」を訴えたとされています。
3.では、公職選挙法違反なのか?
ここはまだ確定していません。
問題になるのは、告示前の行為が「政治活動」なのか、それとも特定候補の当選を目的とした「選挙運動」に該当するのかという点です。
告示前の選挙運動は、いわゆる「事前運動」として公職選挙法上問題になります。
ただし、
「玉城氏を応援した」=直ちに公職選挙法違反
ではありません。
政治家や政党が、選挙前に政治活動をすること自体は認められています。
したがって、最終的には、
- 発言内容
- のぼりや写真などの表示
- 活動の態様
- 時期
- 特定候補の当選を目的としていたか
などを総合的に判断する必要があります。
4.山添拓氏への懲戒請求は「事実」
この問題をめぐり、山添拓氏に対する弁護士としての懲戒請求が行われています。
さらに、請求者側は8月19日に第二東京弁護士会から「調査開始通知」が届いたと公表しています。(X)
ここも、
懲戒請求が行われたこと、そして請求者側が調査開始通知を受けたと公表していること
までは確認できます。
ただし、
「調査開始」=「山添氏が違法」
ではありません。
ここは絶対に混同してはいけません。
今後、弁護士会が調査を行い、その結果によって処分するかどうかが判断される段階です。
5.山添氏・共産党側の「反論」は?
現時点で私が確認した範囲では、今回の懲戒請求について、
「この活動は政治活動であって選挙運動ではない」
あるいは、
「公職選挙法上、この表示・発言は問題ない」
といった具体的な法的反論を、山添氏本人または日本共産党が公表したものは確認できませんでした。
ただし、これは
「反論できないことが違法の証明になる」
という意味ではありません。
弁護士会の懲戒手続きの中で、今後正式に説明する可能性もあります。
したがって、この部分は
「現時点で公開された具体的反論を確認できない」
と書くのが正確でしょう。
6.もう一つ忘れてはいけない「辺野古沖転覆事故」
今回の知事選を考えるうえで、もう一つ重要なのが、2026年3月16日に発生した辺野古沖の船舶転覆事故です。
同志社国際高校の生徒らが乗った2隻の船が転覆し、高校生と船長の2人が死亡、14人が負傷しました。(ニュース.jp)
しかも事故を起こした船は、辺野古新基地建設への反対活動を行っている「ヘリ基地反対協議会」が運航していました。
これは事故後、同協議会自身が認めています。
同協議会は、
自然の影響を大きく受ける海上活動に、修学旅行生を含む未成年を受け入れた判断自体に重大な誤りがあった
とし、安全確保への自覚が欠けていたことを認めています。(ヘリ基地反対協議会)
つまり、これは単なるネット上の批判ではありません。
運航団体自身が安全管理上の重大な問題を認めています。
7.しかも、事故後の「謝罪の遅れ」も問題になった
事故直後、遺族への直接の謝罪や弔意が十分に行われなかったことについても問題になりました。
ヘリ基地反対協議会は5月1日付の謝罪文で、
事故直後に直接の謝罪や弔意を届けられなかった
ことを認め、
「弁解の余地はなく」
としています。(ヘリ基地反対協議会)
これは非常に重い話です。
高校生が亡くなっている以上、事故原因の究明と同時に、まず遺族に対する誠実な対応が求められるのは当然でしょう。
8.共産党も後になって謝罪している
ここについては「共産党が何もしていない」と書くのは正確ではありません。
日本共産党の田村智子委員長は5月17日、事故について、
修学旅行の高校生を船に乗せたこと自体が重大な誤りだった
と認め、ヘリ基地反対協議会の構成団体である日本共産党として謝罪しています。(日本共産党)
したがって、
「共産党は事故について一切謝罪していない」
という記述は誤りです。
むしろ問題として考えるべきなのは、
なぜ謝罪に至るまで時間がかかったのか、事故後の安全管理や遺族対応がなぜ十分でなかったのか
という点でしょう。
9.では、玉城デニー知事はどうだったのか?
ここは評価を分ける必要があります。
玉城知事は事故から約1か月後の4月21日、現場海域を望む名護市瀬嵩の浜を訪れ、献花と黙とうをしています。
また、再発防止についても「安全安心を万全な体制で取り組む」と発言しています。(自民党)
したがって、
「玉城知事は事故を無視した」
と断定するのは適切ではありません。
一方で、3月27日の記者会見では、事故を起こした船を運営していたヘリ基地反対協議会について、
辺野古新基地建設への反対という考え方は自分と共通する
と説明しています。
そして、同協議会による海上抗議活動については報道で承知していたものの、
「どのような条件の下で実施されているかについての詳細は把握しておりません」
と答えています。(沖縄県公式サイト)
ここは非常に興味深いところです。
10.「知事が消極的だった」は確定事項ではない
玉城知事について、
「事故対応に消極的だった」
という評価をすることはできます。
しかし、それはあくまで評価・批判です。
事実として確認できるのは、
- 事故直後に現場を訪れたわけではない
- 約1か月後の4月21日に献花した
- 県として再発防止に取り組むと発言した
- 3月27日の時点で、運航団体が辺野古反対運動を行っていることを認識していた
- 一方で、海上抗議活動の具体的な実施条件までは把握していなかったと説明した
ということです。(沖縄県公式サイト)
したがって、
「消極的だった」と断定するより、「対応の遅さや運航団体との関係について疑問を持つ人が出るのは理解できる」
という書き方の方がフェアです。
11.私が一番気になるのは「ダブルスタンダード」です
今回の問題を見ていて、最も考えさせられるのはここです。
玉城知事や共産党は、米軍関係者による事件・事故については非常に強く政府や米軍に説明責任を求めてきました。
実際、日本共産党は沖縄の事件・事故について繰り返し政府を追及しています。(自民党)
ところが今回は、
自分たちと政治的立場を同じくする反基地団体が運航する船で、修学旅行中の高校生が死亡するという重大事故が起きた。
しかも運航団体自身が、安全管理上の重大な問題を認めています。(ヘリ基地反対協議会)
だからこそ、
「誰が起こした事故なのか」ではなく、
「何が原因だったのか」
「なぜ安全管理が機能しなかったのか」
「なぜ遺族への対応が遅れたのか」
「行政は事前にどこまで把握していたのか」
を、政治的立場に関係なく厳しく検証する必要があります。
12.そして、今度は「玉城デニー3選」
ここで最初の話に戻ります。
事故からわずか数か月。
そして知事選を目前にして、山添拓氏らが
「玉城デニー知事の3選勝利」
を訴えています。(note(ノート))
もちろん、玉城氏を応援すること自体は自由です。
しかし、告示前に特定候補の「3選勝利」を訴えたことについては、事前運動に該当するのかどうかという法的問題が提起され、実際に山添氏への懲戒請求まで行われています。
現在はまだ結論が出ていません。
だからこそ、ここは感情的に
「公選法違反だ!」
と断定するのではなく、
「告示前の選挙運動に当たらないのか、法的に検証されるべき事案ではないか」
と見るべきでしょう。
まとめ――「確定」と「未確定」を整理すると
【確定していること】
- 沖縄県知事選は8月27日告示、9月13日投票。
- 玉城デニー氏は3選を目指している。(沖縄県公式サイト)
- 山添拓氏側が「玉城デニー知事でこそ!」と訴えた。
- 日本共産党も「玉城デニー知事の3選勝利」を訴えたと公式に報じている。(note(ノート))
- 山添氏に対する弁護士懲戒請求が行われている。
- 請求者側は第二東京弁護士会から調査開始通知を受けたと公表している。(X)
- 辺野古沖の事故では高校生と船長の2人が死亡、14人が負傷した。(ニュース.jp)
- 船を運航したヘリ基地反対協議会は、安全管理上の重大な問題と事故後の対応の不備を認めて謝罪している。(ヘリ基地反対協議会)
- 日本共産党の田村智子委員長も、事故について謝罪している。(日本共産党)
- 玉城知事は4月21日に事故現場海域を望む場所で献花し、再発防止を表明した。(自民党)
【まだ確定していないこと】
- 山添氏の行為が公職選挙法上の「事前運動」に当たるか。
- のぼりや写真の掲示が公職選挙法上違法だったか。
- 山添氏に弁護士として懲戒処分が下されるか。
- 玉城知事が事故対応について法的・行政的責任を負うのか。
- 玉城知事が事故に「消極的だった」と法的・客観的に評価できるのか。
ここを混同しないことが重要です。
ただし、「確定していないから問題がない」ということでもありません。
告示前の「3選勝利」の訴えについては、選挙運動に当たるのかを第三者が検証する価値があります。
そして辺野古沖事故については、政治的立場に関係なく、亡くなった高校生と船長、負傷した生徒たち、そして遺族のために、事故原因と安全管理、事故後の対応を徹底的に検証する必要があります。
選挙だからこそ、都合の良い事実だけを並べるのではなく、「確定した事実」と「まだ判断されていない疑惑」を分けて、有権者自身が判断できるようにすることが大切だと思います。


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