「北方領土はロシア領」加藤登紀子氏、TBSサンデーモーニング
「北方領土はロシア領」
加藤登紀子氏の発言とTBSのその後を考える
終戦直後に北海道まで狙ったソ連
2026年8月16日のTBS系「サンデーモーニング」で、加藤登紀子氏が北方領土について「ロシアの領有なので、日本は抗議できる立場にない」という趣旨の発言をしました。
※その直後、TBS側から「正しくは実効支配」と補足が入ったと報じられています。
しかし、ここは単なる言葉の訂正で済ませてよい問題なのでしょうか。
①サンデーモーニングの問題
「領有」と「実効支配」は全く違います。
日本政府は、歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島の北方四島を「日本固有の領土」とし、1945年にソ連が占領し、現在もロシアによる不法占拠が続いているという立場です。
つまり、
「ロシアが実効支配している」
と、
「ロシアの領土である」
は別の話です。
しかも今回の発言は、単に「ロシアが支配している」と述べたのではなく、「だから日本は抗議できない」というところまで踏み込んでいます。
TBSが直後に「実効支配」と補足したのであれば、少なくとも問題のある表現だったことは認識していたと考えられます。
それならば、番組として
「先ほどの発言には誤解を招く表現がありました」
と明確に説明し、必要であれば本人にも訂正してもらうべきではないでしょうか。
報道番組には、出演者の発言をそのまま流すだけでなく、視聴者に誤った認識を与えないようにする責任があります。
②では、なぜ北方領土はロシアに占領されたのか
ここは今回の発言を考えるうえで、非常に重要です。
1945年8月9日、ソ連は日本に対して参戦しました。
当時、日ソ中立条約はまだ有効でした。
そして日本がポツダム宣言を受諾し、降伏の意思を明確にした後もソ連軍は攻撃を続け、8月28日から9月5日までの間に北方四島を占領しました。
その後、ソ連は1946年に北方四島を一方的に自国領へ「編入」し、1948年までに島民であった日本人を強制退去させています。
つまり、現在ロシアが実効支配しているという事実だけを見て、
「ロシアが領有している」
と考えるのは、なぜ現在の状態になったのかという歴史的経緯を抜きにしてしまうことになります。
③さらに重要なのが「北海道」
実は終戦直後、ソ連が狙っていたのは北方領土だけではありません。
1945年8月16日、スターリンはアメリカのトルーマン大統領に対し、北海道の北半分をソ連軍の日本軍降伏地域に含めることを正式に要求しました。
その境界線として、東側の釧路から西側の留萌を結ぶ線までを北側のソ連占領地域とする具体的な案まで示しています。
しかし、トルーマンは8月17日にこれを拒否。
北海道を含む日本本土の降伏は、マッカーサーの指揮下で行わせる方針を示しました。
つまり、もしアメリカがこの要求を受け入れていたら、
北海道が南北に分断され、北北海道がソ連の占領地域になっていた可能性があった
ということです。
実際、スターリンは8月22日にも北海道北部の要求を拒否されたことについて、トルーマンに不満を示しています。
「ロシア領だから抗議できない」で終わらせていいのか
今回の発言を考えるとき、私はここが最も重要だと思います。
北方領土は、単に「現在ロシアが管理している土地」ではありません。
終戦間際にソ連が日本へ侵攻し、その後占領・編入したという歴史があります。
そして、そのソ連は北方四島だけでなく、北海道北部まで占領しようとしていました。
だからこそ、日本政府は現在も北方四島を日本固有の領土とし、ロシアによる不法占拠の問題として返還を求めています。
今回、TBSが「実効支配」と補足したこと自体は必要な対応でした。
しかし、「ロシア領だから日本は抗議できない」という発言を一度放送した以上、単なる言い換えではなく、番組として視聴者にきちんと説明する必要があるのではないでしょうか。
そして私たちも、現在の地図だけを見るのではなく、
「なぜ北方領土がロシアに支配されることになったのか」
「もし当時、アメリカがソ連の要求を受け入れていたら北海道はどうなっていたのか」
まで知ったうえで、この問題を考える必要があると思います。
追記。
特に「占守島の日本軍の戦いが北海道防衛にどんな意味を持ったのか」
防衛研究所の資料でも、樋口季一郎自身が「もし占守島の自衛戦闘がなかったら、ソ連軍は北海道にまで上陸してきたかもしれない」と戦後回想れています。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません