米卸業界の寡占化、在庫隠しによる米価格の混乱
最初に「卸売業者」ずべてが売り控えをしていたわけではありません。適正に出荷していた業者も存在します。
備蓄米放出で大騒ぎとなったお米ですが、業者が売り控えしてなければ、ここまで混乱を起こすことは無かったと思います。
卸売業者だけが悪いのでは無く、制度の建て付けが限界を超えており、主食米を守るために政府は策を講ずるべきではないでしょうか。
卸売業者による売り控え、価格コントロールが招いた結果
令和5年から令和6年にかけて、日本の米市場は異例の混乱に見舞われた。猛暑による不作、価格高騰、そして令和6年産米の在庫滞留。これらの背景には、米卸売業界の寡占構造と情報の非対称性が深く関係している。
🔄 大手卸売業者間の「横の取引」の実態
- 農林水産省の資料によると、米の流通では「相対取引」が主流であり、大手卸売業者同士が長期契約や大ロットで直接取引するケースが多い。
- こうした取引は、価格が安定しやすい反面、外部からは価格形成の過程が見えにくくなる。
- 帝国データバンクの調査でも、米卸業者は全国に約1800社存在し、そのうち売上100億円以上の大手が全体の47.5%の売上を占めるなど、業界の寡占化が進んでいることが示されています。
高騰と「米不足」報道の裏側
令和5年産米は猛暑の影響で収量が減少し、卸価格は1.5〜2倍に高騰。市場では「米不足」報道が相次ぎ、外食産業や米店は仕入れに苦しんだ。しかし、後に判明したのは、実際には「米がない」のではなく、「売られていなかった」こと。複数の卸業者が在庫を温存し、初売りを控えていたのだ。
令和6年産米の供給過剰と価格崩壊
前年の混乱を受けて、農家やJAは作付けを増加。令和6年産米は豊作となり、供給量は前年比で56万トン増加した。ところが、消費者の買い控えや外食産業の慎重姿勢が続き、米は売れずに卸業者の倉庫に滞留。価格は下落し、卸業者の損失が拡大した。
卸業者の「自業自得」か、それとも制度の限界か
高値で仕入れた米が売れず、一部卸業者は「国に買い取ってほしい」と要望。これに対し、「リスクを取ったのは自己判断では?」という批判も出ている。確かに、在庫温存や初売り控えは業者の戦略的判断だが、背景には農政の需給調整の不備や統計の不透明さもある。
寡占構造と横の取引の影響
米卸売業界では、大手業者同士による横の取引が広く行われている。これは談合ではないが、価格形成が業者間契約に依存し、市場の透明性が損なわれる要因となっている。価格が似通いすぎることから「足並みが揃いすぎている」との疑念も生じている。
今後の課題:情報の可視化と制度改革
この混乱は、単なる需給ミスではなく、構造的な問題の露呈である。農水省の統計と実態の乖離、卸業者の在庫戦略、消費者心理の変化。これらを可視化し、制度的な改善につなげることが求められている。
🧭 備蓄米は「失敗」ではなく「機能不全」
備蓄米制度そのものが無意味だったわけではありませんが、運用の遅れと情報の不透明さが重なり、価格安定という本来の目的を果たせなかったという点で、「制度の機能不全」と言えるでしょう。










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